予防医学の視点で見る、疲労を溜めない生活習慣

慢性疲労

これまでの記事では、自律神経・睡眠・姿勢という切り口でお話ししてきました。今日は少し視点を広げて、「病気になってから治す」のではなく「そもそも不調を溜めない」という予防医学の考え方から、運動・睡眠・食事という3つの土台をどう位置づけるか整理してみます。

理学療法士としての仕事は、本来はリハビリという「治療」の場面が中心です。ただ、患者さんとお話ししていると、「もっと早く、こうしておけば」という声を聞くことが少なくありません。今日お伝えする内容は、そうした現場での実感も踏まえたものです。

■ 運動:「+10」を、いつやるかにもこだわる

厚生労働省が2024年に公表した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、「+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう」というメッセージが打ち出されています。いきなり本格的な運動を始める必要はなく、「今より10分多く動く」という小さな積み重ねが推奨されています。

ここで一つ、PTとしてお伝えしたいのは、「いつ動くか」というタイミングです。1本目の記事で、日中に交感神経がしっかり働くことが、夜の自律神経の切り替えの土台になるとお話ししました。同じ10分の運動でも、朝〜日中に行う方が、この切り替えのリズムには合わせやすいと考えられます。就寝直前の激しい運動は、かえって交感神経を刺激してしまう可能性があるため、「+10」を実践するなら、通勤や昼休みなど、日中の時間帯に組み込むことをおすすめします。

■ 食事:バランスガイドを、疲労回復の視点で読み直す

食事については、厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」があります。主食・主菜・副菜をバランス良く摂ることを基本とした考え方です。

3本目の記事でお伝えした通り、睡眠不足は食欲を抑えるホルモン(レプチン)の減少と、食欲を高めるホルモン(グレリン)の増加につながる可能性があります。つまり、「疲れているときほど、バランスの悪い食事に偏りやすい」という悪循環が起こりうる、ということです。食事の内容そのものを完璧にコントロールしようとするより、まずは「疲れている日ほど、食事の乱れに気づきやすくなっておく」という視点を持つことが、悪循環に気づく第一歩になると考えています。

■ 3つを同時に完璧にする必要はない

運動・睡眠・食事、あれもこれもと完璧を目指したくなるかもしれませんが、それでは続きません。私自身、育児中は特に、3つすべてを理想通りにこなせる日はほとんどありません。

5本目の記事で紹介したセルフチェックで当てはまる項目が多かった方は、まず睡眠から手をつけることをおすすめします。睡眠は、運動のタイミングにも食欲のコントロールにも影響する、いわば土台にあたる部分だからです。逆に、チェック項目が少なく余裕がある方は、運動の「+10」から始めてみると、無理なく続けやすいと思います。

※本内容は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の症状の診断や治療を代替するものではありません。症状が続く場合や強い痛みがある場合は、必ず医療機関を受診してください。

私はPT(理学療法士)であり医師ではありません。この記事は診断・治療を目的とするものではなく、日常生活に役立つ一般的な健康情報の提供を目的としています。まだまだ勉強中ですので誤りがあればぜひ教えてください🙏

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